協業組合というのは珍しい業態だと思いますが、始められたきっかけはどういったことからだったのですか?
私の祖父が初代理事としてこのキングパン協業組合を始めました。 あまりない業態だと思いますが、もともと小さいパン屋さんが4社あって学校給食をやっていたんです。 42年前に工場設備を機械化して給食パンを製造するために出資し合ってできたのが始まりです。 学校給食の業務を協業する組合という形でできた法人です。
どういった種類のパンを生産されていますか?
創業当初は企業城下町という特色もある豊田市の土地柄、工場の売店にパンを卸したりすることも多くありましたが、
今は生産の8~9割は学校給食になります。
パンを作り配達を行っております。
地産地消の観点から、地元産のお米を使った米粉パンの給食もあります。
米粉パンは小麦パンに比べて扱いが難しい部分もあると思いますがいかがですか?
小麦のパンは中種法ですが、米粉はストレート法で作ります。
それから一度に大量に生地を練って作るのは難しいので少量生産しかできません。
丸めが難しいのでグルテンの量で調整したり、練る時間も小麦と比べて2倍かかります。
生地の温度管理にも気を使います。
米粉パンは作った後の管理も難しいので、小麦パンの後に生産するように工夫しています。
米粉パンはモチモチとした食感で学校給食でも人気メニューの一つです。
学校給食で培った技術を生かしてこれからは市販の米粉パンも手掛けていきたいと思っています。
おいしいパンを作る上でのこだわりはありますか?
基本的なことですが、まずは時間と温度を気を付ければいいパンができると思います。 生地を長時間寝かすことで風味に差が出ます。 午前2時から中種を4時間寝かして、温度もしっかり管理しています。
工場では熟練した従業員の方々もお見かけしました。
うちの工場には昭和45年の創業当初や、今の組合という形になる前の会社からパン作りに携わっている従業員がいます。 クロワッサンは機械で作るのが難しい部分もあり手作りしています。 機械ではできない、長年の経験で生地の扱いが分かったり、自然と手で覚えている感覚を活かせます。
ベルトドライブプルーファ(PQB)について感想を聞かせてください。
工場に3つあるラインのうちのコッペパン、米粉パンを作っているラインに2年前ベルトドライブプルーファを導入して、
とてもトラブルが少ないので今回菓子パンラインにも入れさせていただきました。
菓子パンラインで以前使っていたプルーファはずいぶん古かったので、
駆動部分の金属がすり減って両サイドのカゴに入ってしまう懸念がありました。
両サイドのカゴを使わないようにして対処してきましたが、
2012年9月にベルトドライブプルーファに入れ替えました。
新しいベルトドライブプルーファはベルトの部分がプラスチックで駆動しているので
そういう異物混入の心配がなくなって安心して使うことができます。
このプルーファはパネルが全部外せるので掃除で手が届かないところが無いです。
機械の中が良く見えるように外側のパネルが透明になっていて、
きちんと細かいところまで掃除してないと目立つので衛生に対する意識が高まりますし、
作業が目に見えて分かりやすいというところが良い点だと思います。
機械が動いていても静かなところもいいです。
安心安全なパンを提供する上で心がけていることはありますか?
おいしいパンを作ることはもちろん大切ですが、それ以上に衛生面には気を配っています。
どこでもやられていることだと思いますが、特に異物混入の事故を防ぐように作業しております。
自分の家族に安心して食べさせられるようなパンを作りましょうという話はよくしています。
衛生的に気を付けていないものは自分の家族にも食べさせたくないと思いますし、
市販の製品で使う原材料も添加剤まで気を配って、毎日食べても健康に影響がないものを選定します。
最後に、今後の抱負を教えてください。
まずは学校給食で子供たちのために衛生面に気を配った安心安全なパンを届けるということです。
衛生面はここまでやればいいというゴールはないので、それはずっと気を付けて作業していきたいと思っています。
今後短い期間で取り組みたいことでは、今までは個人個人が衛生面に気を配って作業するスタイルを取ってきましたが、
これからはチームワークを大切にして、組織的に管理する体制にしていきたいです。
それがある程度できるようになったら、今まで学校給食で培ってきたものを
市販など違う分野にも広げていきたいと考えています。